「伊勢物語 在原業平 恋と誠」髙樹のぶ子著
平安時代の歌物語「伊勢物語」の主人公は、希代のプレーボーイ、在原業平とされている。しかし、著者は彼が残した歌から伝わる深い真情からは、どうしてもそうは思えず、1000年以上も間違ったイメージで語られてきたのではないかという。伊勢物語を読み込みながら、そんな業平の素顔に迫る古典ガイド。
最初の恋である春日野の姉妹、親子ほど年が離れた西の京の女など、業平が出会った女性たちから学んだこと、そしてその心の襞(ひだ)を読み解く。すると、女性に寄り添い、女性の身になって受けとめる感性を備えた業平は、単なる好色ではなく、そこに「きよらかなあはれ」があったという。その「きよらかなあはれ」こそ平安の雅の本質であり、現代にも通じる「誠」の姿なのだと著者はいう。
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