「現代中国の秘密結社」安田峰俊著
中国社会の裏側でうごめくさまざまな秘密結社の実態を明らかにしながら、その近現代史とリアルな中華圏社会を見つめ直すノンフィクション。
中国の秘密結社は、本来は構成員同士の助け合いなどの目的から結成された「会党(フイダン)」と民間信仰の宗教的なつながりのもとに信者たちの人間関係が結ばれた「教門(ジャオメン)」に大別される。これに清朝や中国共産党の打倒などの政治目的を抱いて結成された「政治結社」が加わる。だが、3者の境界はあいまいだという。全世界にアメーバのように広がる会党のひとつ「洪門(ホンメン)」や、当局によって邪教として弾圧される気功集団「法輪功」や、「全能神」など。
現代中国の理解に欠かせない秘密結社の知られざる世界を案内してくれる。
(中央公論新社 1012円)