「大航海時代の日本人奴隷」ルシオ・デ・ソウザ、岡美穂子著
16世紀前半、ポルトガルではアジア人奴隷は「ポルトガルが支配する地域の先住民」とされていて、日本人もその中に含まれていた。1577年に現在の大分県で生まれたガスパール・フェルナンデス(日本名は不詳)は、10歳のころ誘拐され、長崎でポルトガル商人ルイ・ペレスに奴隷として売られた。その売値は1ペソだった。
日本では「年季奉公」という慣行があるが、それは「奴隷契約」ではなく、ヨーロッパ人の「期限付き奴隷」という考えとはかなりの隔たりがある。主人のルイ・ペレスが長崎にやってきたのは、異端審問所から逃れるためだった。
「異端審問記録」から、知られざる「日本人奴隷」の歴史を探る。
(中央公論新社 1650円)