「サード・キッチン」白尾悠著
遠縁の援助でアメリカの大学に留学した加藤尚美。周囲の日本人留学生は海外育ちかインターナショナルスクール出身者ばかりで、海外経験もなく英語も話せない尚美は疎外感をもっている。学費全額免除で全米トップの大学院を出て、研究者になるのが夢なのだが、大学の食堂で食べるものは「餌」としか思えず、うんざりする日々。
ある日、同じ学生寮の住人で宮崎駿の大ファンだという黒人の学生、マライカに「サード・キッチン・コープ」に誘われた。「サード」とはいろいろなマイノリティーを包括する意味で、さまざまな国の出身者やLGBTQなどが運営する食堂だった。
留学先で多様なマイノリティーに出会った女子学生を描く青春小説。
(河出書房新社 1980円)