「戦国の村を行く」藤木久志著 清水克行解説・校訂
農民の視点から、戦国時代を捉えなおした戦国時代研究の名著の復刊。
戦場となった村では勝者による「人取り」(人間の略奪)が横行。大名軍は、「濫妨(らんぼう)衆・狼藉人」などと呼ばれるゲリラ戦や略奪・売買のプロを雇い、戦場に投入した。戦争の惨禍の焦点は、こうした身に迫る奴隷狩りだったという。
村は戦禍を避けるために、敵軍に米や銭を支払い「濫妨狼藉停止」の禁制や制札を買い取ったり、国境の村では双方の軍に年貢を半分ずつ払って両属の関係を結んで「村の平和」を買い取っていた。また戦時に村人たちは、領主の城の他に、あらかじめ用意した山小屋(村の城)に避難したという。
相次ぐ戦乱を村人たちはどのように生き抜いたのか、そのしたたかな生存戦略に迫る。
(朝日新聞出版 979円)