「妻から哲学」土屋賢二著
女はふだんから、男に負い目を感じさせることを口にする。
たとえば、「あなたと結婚して、わたしはこのまま年をとっていくだけなのね」。
年をとるのがいやなら死にたいのか、年をとるのはおれのせいかと思いながら、自分に責任があるような気になる。
バッグは何個も持っているのに、バッグを買いたがる。男が2着しか持っていない上着を買い替えるのは許さないのに。同意しないと「わたしに幸福になってほしいと思わないの?」という攻め口でくる。「思わない」と答えることは不可能だ。女の「論理的能力」は男をはるかにしのぐと著者は考えている。
「週刊文春」の連載「ツチヤの口車」の選りすぐりを収載。
(文藝春秋 1760円)