「東大ナゾトレ SEASONⅡ 第9巻」松丸亮吾監修/扶桑社

公開日: 更新日:

 フジテレビ系番組「今夜はナゾトレ」の人気コーナー「東大ナゾトレ」から生まれた本だ。問題を制作したのは、東京大学謎解き制作集団AnotherVision。いわゆる「脳トレ」的な頭の体操が多数収録されており「入門」「中級」「難問」に分かれている。

 私は現在48歳。かつては名刺交換をしたら一発でその人の名前と顔を思い出せたが、今はまったく思い出せない。そして過去には名刺を見返すだけで、会った時の状況をすべて思い出せたが今はよっぽど印象に残った人以外は思い出せない。さらには何か具体的な名前を出そうと思っても「アレが、アレが……」となってしまう。

 しかも、週刊誌の連載で前週何を書いたかさえ覚えていない。知人から「物価についての原稿面白かったよ」と言われたのだが「えっ? 物価の話って昨日書いたものだからまだ出ていないはず」と思ったが、なんと2週間連続で物価の話を書いていたのだ。幸い内容はまったく違ったが。

 となれば、60代になった時はどのような状態になってしまうのか。かなり恐怖を抱いていた中、この本に出合った。

「脳がウズウズする至極の謎解き40問!」とあり、AnotherVisionメンバーの座談会を含め、謎解き問題が次々と登場する。1つ目の問題は天ぷら鍋が奥に描かれており、上段左からサラダ油の容器、卵の殻、柿がある。そして下段には油揚げ、鶏のから揚げ、そして「?」とある。この「?」が一体何かを答えるのだ。これはすぐに分かるだろう。

 だが、2問目で早くもつまずいてしまった。「?が表す言葉は何でしょう?」とあり、左側に①①②とあり、飛行機がそこから飛び立ち「③や②①②」とあり、問題は「①②③=?」だ。これは解くのに5分かかってしまった。

 わずか144ページしかない本なのだが、本当に5問解くだけでかなりの時間がかかってしまう。だから全部解くのは大変である。ただ、解いた後は満足感が出るとともに、「これでオレはボケないぞ」という安心感も生まれた。

 あと、私はもともと「東大生はよく寝る」という実感を持っている。堀江貴文氏も長時間眠ると言っているが、メンバーの一人は「俺の場合、緊張する場面の前は余計なことを考えずに、さっさと寝るようにしてることが多いかな」と述べていた。睡眠不足自慢をする人は多いが、頭の体操に加え、たっぷり眠ることがボケ防止になるのでは、とも思えた。 ★★半(選者・中川淳一郎)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動