「インド残酷物語」池亀彩著

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 インドで長年、フィールドワークを続けてきた著者によると、いまだに出自で差別され、貧富の差が激しいインドは残酷な国だという。

 さらにインド社会の内部格差や隔絶は、政治家によって宗教的対立へと置き換えられ、ヒンズー至上主義を標榜するナショナリズムが力を増しつつある。そんな過酷な社会で、たくましく生きる市井の人々の姿を通し、インドの現実を伝えるリポート。

 家族に反対され、駆け落ちしてダリト(旧不可触民とされるカースト)の恋人と結婚したが、親戚が雇った殺し屋による「名誉殺人」で夫を殺された女性、新築なのに水道が通っていない団地に住む知人、国家の法の外側で地域のもめ事を裁くグル(宗教リーダー)など。人々の人生からインドの今が垣間見える。

(集英社 968円)

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