「江戸幕府の感染症対策」安藤優一郎著

公開日: 更新日:

 今回のコロナ禍は現代の日本人が初めて体験するパンデミックだが、歴史を振り返れば、奈良時代から疫病の流行はあった。天平9(737)年には、疱瘡(ほうそう=天然痘)が大流行して死者が続出、朝廷を牛耳っていた公卿の藤原4兄弟までもが命を落とした。

 江戸時代も感染症の流行に苦しめられ、特に人口密度が高かった巨大都市・江戸はその被害を最も受けやすく、疱瘡・麻疹・インフルエンザ、そして幕末にはコレラで多くの命が奪われた。それでも都市崩壊が起きなかったのは、幕府が医療政策だけでなく、現代でいう社会福祉政策に力を入れたからだという。

 本書は、江戸時代に流行した感染症の詳細と、それに対応した知られざる幕府の危機管理術を解説した歴史テキスト。

(集英社 800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭