「軍隊マニュアルで読む日本近現代史」一ノ瀬俊也著
明治6年に徴兵令が制定されて以来、昭和20年の敗戦まで、日本でも徴兵が続けられ、多くの若者が本音を隠して「お国のために」と戦地に赴き、死んでいった。送り出す人々も美辞麗句を並べ、彼らを見送った。
当時、入営者と彼らを見送る人のための「マニュアル」本が安価で売られていたという。マニュアル本は、入営者のための兵営事情案内や軍隊教科書をはじめ、軍隊・戦場の兵士と一般人がやりとりする手紙例文集、兵士の入営・凱旋・葬儀の際に用いる式辞・挨拶模範など多岐にわたる。
本書は、徴兵にまつわるそうした「マニュアル本」を読み解きながら、徴兵・戦争という巨大な経験に日本人がどう向き合ってきたのかを明らかにする歴史テキスト。
(朝日新聞出版 814円)