「江戸の学びと思想家たち」辻本雅史著
江戸時代の思想家たちの幼少期の「知のつくられかた」に着目して、論じる江戸思想史入門書。
江戸時代の知や思考は四書五経をはじめとする儒学の主要な古典「経書」の「素読」によってつくられた。素読という「型にはまった」学びを前提にしながら、なぜ多様で個性あふれる思想が生まれたのか。
禅宗寺院で若年期を過ごした山崎闇斎をはじめ、日記を漢文で書く訓練を受け、農村で独学した荻生徂徠や、医学と儒学を併せて学びながら歌学にも親しんでいた本居宣長ら、彼らの若き日の学び体験が、その後に形成される思想の個性をどのように形づくったのかを考察。
さらに、彼らが自らの思想をどのようなメディアを通じて語り、発信したのかにも注目しながらその思想を解説する。
(岩波書店 968円)