「おいしい味の表現術」瀬戸賢一編 味ことば研究ラボラトリー著
味をことばで伝えたいときに、まず守るべきは「うまっ、ヤバッ、コレナニ?」を言わないことだという。なぜならあとが続かないからだ。グルメ情報があふれ、世界中のメニューが揃う飽食の時代、足りないのは「ことばによるオーダーメイドの味付け」だと著者はいう。ことばの貧困は巡り巡って食の均一化と質の低下を招きかねないから、もっと味を表現する努力をしなければならないと。SNS時代の即戦力となってくれる、味を表すことばの豊かさと奥深さを伝えるテキスト。
「コク・キレ・のどごし」のコクや、生ビールや生チョコなどの「生」とはどういう味か。ことばの側から実際の味を探る。さらにカレーやラーメンなどの国民食を例に口中の味をどのように表現するか実際に手ほどきする。
(集英社インターナショナル 990円)