「人でなしの櫻」遠田潤子著

公開日: 更新日:

 日本画家、竹井清秀の携帯に、父の秘書兼運転手の間宮から緊急事態だという連絡があった。高校2年のとき以来、連絡を取っていなかったが、マンションに行ってみると、父はかっと目を見開いたまま死んでいた。

 リビングの奥の階段の上に部屋がある。間宮の制止を振り切って入ると、ベッドに少女が腰掛けていた。一糸まとわぬ姿でウサギのぬいぐるみを抱いている。その少女、蓮子は8歳のときに清秀の父、康則に買われ、11年間閉じ込められていたのだ。康則は蓮子の首を絞めようとして突き飛ばされ、テーブルに頭をぶつけて死んだ。警察の聴取を終えて帰宅した清秀は、画室に入って蓮子の絵を描き始める。

 激しい嫌悪を覚えながらも、父が監禁していた少女に魅せられた画家の物語。

(講談社 1760円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動