「イクサガミ 天」今村翔吾著
明治11年5月5日午前0時前、愁二郎は噂の真偽を確かめるため、京都・天龍寺の境内に足を踏み入れる。境内にはすでに腕に覚えのある男たちが集まっていた。噂では武技に優れた者に10万円を手にする機会が与えられるらしい。
しかし、時刻になり現れた主宰者の説明に集まった292人は動揺する。1カ月後までに7カ所の関門を通り抜けて東京にたどりついた者だけに10万円を渡すというのだが、各関門を抜けるには各人が首から下げた木札を相応数集めなければならない。つまり木札を手に入れるために相手を殺せというのだ。
合図とともに境内が修羅場となる中、愁二郎は男たちに狙われた少女を見つけ駆け寄る。
訳ありの愁二郎と少女双葉の道中を描く剣劇エンターテインメント。
(講談社 770円)