「猫の舌に釘をうて」都筑道夫著
「私はこの事件の犯人であり、探偵であり、そしてどうやら、被害者にもなりそうだ」と謎めいたセリフで始まる1961年刊行の本格推理小説。
売れない推理小説家の淡路は、同級生の塚本への殺意を募らせる。しかし、彼を殺せば、淡路が愛する彼の妻・有紀子を悲しませることになる。塚本への殺意を紛らわせるため、淡路は行きつけの喫茶店の常連客で塚本に顔が似ている後藤を殺す真似をすることにした。淡路は、塚本の家で風邪で寝込んでいた有紀子の薬を1包くすね、それを後日、喫茶店で後藤のコーヒーに投入する。飲んだ直後、後藤が苦しみだし、その場で絶命してしまう。淡路は自分が犯人だと暴かれることを恐れるとともに、有紀子の命が狙われていることを知り真相究明に乗り出す。
(徳間書店 825円)