「にゃんこ四字熟語辞典」西川清史著
ある日、猫の写真を見ていた著者の頭に、「臥薪嘗胆」やら「眉目秀麗」などと四字熟語が浮かんできたという。写真の横にそれらの漢字を書いてみたら、なんだか面白い。で、これで四字熟語辞典を作ってみたら「愉快千万」なのではと思い立ち、できたのが本書だそうだ。
ちなみに「臥薪嘗胆=目的を達するために長い間苦心、努力をすること」に添えられるのは、寒さに耐えながら木の枝の上で香箱を組んでいる茶トラの写真だ。その背中には雪が降り積もっている。
「眉目秀麗=容貌が美しく整っているさま」には、ハンサムなキジトラのドアップ。宝石のようなその美しい目に、引き込まれそうになる。
猫好きにはたまらない辞典だが、いざ作ろうといろいろな猫の写真を見始めたら、これが「艱難辛苦」の始まりだったという。
なぜなら、大概の猫の写真は寝ているか、怒っているか、何かをかじっているかで、バリエーションが少ないからだ。
苦心惨憺、七転八倒しながら選ばれた写真はどれも秀逸。
「隠忍自重=じっとこらえて軽々しい行動を慎むこと」には、なぜかエリカラ(エリザベスカラー=猫が患部をなめないように装着させるペット用品)のように食パンを顔に装着した黒猫、その隣ページの「油断大敵=油断は失敗のもと。大きな敵であるということ」では、仲間の猫に顔を踏み台にされた茶白が。
他にも、「自暴自棄=我が身を顧みず投げやりな行動をすること」にはドラム式洗濯機に入りこんで意味深の流し目でこちらを見るキジシロ、「堅忍不抜=動揺することなく我慢強く耐え忍ぶこと」には豪華な花の冠を頭に乗せたあきらめ顔の白猫など、99語に99枚の猫の写真。
勉強になるかどうかはさておき、猫好きなら絶対に欲しくなるはず。
(飛鳥新社 1540円)