「庭は私の秘密基地」銀色夏生著

公開日: 更新日:

 詩人でエッセイストの著者によるお庭づくりフォトエッセー。

 20年ほど前、故郷の宮崎に家を建て移り住んだ著者は、300坪の敷地に細部までこだわった庭をつくった。数年後に再び東京に拠点を移し、その後は宮崎と都内を行ったり来たりの生活が続く中、草むしりと剪定を人任せにしたまま放置した庭はすっかり殺風景になってしまった。

 4年前、出合ったハーブ園に刺激され、意欲を取り戻し、毎月のように通い、理想の庭づくりに着手。そして昨春、再び宮崎に戻ってからは毎日、庭仕事に精を出してきた。

 その庭づくりの経過や大好きな花や木にまつわるエピソードなどを文章と写真で紹介していく。

 まずはあのハーブ園を思い描きながら、玄関前を整地して、さまざまなハーブを植え、第1ハーブ園と名付ける。

 北側にはローズゼラニウムとオキシペタラム、マメ科のクラウンベッチ、そして山アジサイを栽植。このピンクとブルーの配色を見るたびうっとりしていたのだが、猛暑でローズゼラニウムの大株が枯れてしまい、今は挿し木で育てた子株や孫株を育てているところ。

 気に入った花や木の剪定枝をただ土に突き刺しておくだけの「ワイルド挿し木牧場」もある。

 壁や石を這う小さな葉のツタ「フィカス・プミラ」は苗ポットを大人買い。各所で成長中だ。

 大好きなバナナの木は、地下茎で大増殖。このままでは庭中がバナナになってしまうと、泣く泣く根っこを掘り起こした。

 また20代の頃、尾瀬で出合った忘れられない匂いが、庭にも植えてある桂の木の枯れ葉の匂いだと気づき、興奮して新たに増やしてみたりと、庭づくりに終わりはない。

 ガーデニングには最高の季節。一読すれば自分だけの秘密基地づくりに取りかかりたくなるはず。

(KADOKAWA 1760円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  2. 2

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  3. 3

    【独自】亀山千広BSフジ社長“台風夜のお色気ホムパ疑惑” 「帰宅指示」を出しながら自分はハイヤーで…

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希 160キロ封印で苦肉の「ごまかし投球」…球速と制球は両立できず

  5. 5

    ヤクルト村上宗隆 復帰初戦で故障再発は“人災”か…「あれ」が誘発させた可能性

  1. 6

    明暗分けたメジャーの最新評価…ヤクルト村上宗隆「暴落」、巨人岡本和真は「うなぎ上り」

  2. 7

    中森明菜「奇跡」とも称された復活ステージまでの心技体 「初心を忘れるな」恩師の教え今も…

  3. 8

    フジの朝ワイド「サン!シャイン」8時14分開始の奇策も…テレ朝「モーニングショー」に一蹴され大惨敗

  4. 9

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  5. 10

    セレブママの心をくすぐる幼稚舎の“おしゃれパワー” 早実初等部とアクセスや環境は大差ナシ