「小説の読み方」平野啓一郎著
人気作家による読書論。
そもそも、小説とは何か。「この広大無辺で、複雑極まりない世の中を、そして、そこに生きる人間の心の奥底を、誰の手のひらにでも収まるほどのコンパクトなサイズに圧縮して、濃密な時間とともに体験させてくれる」ものだという。ゆえにネット時代の今だからこそ、必要とされている表現形式だと説く。その上で、動物行動学の基本とされる「4つの質問」(動物の行動のメカニズム・発達・機能・進化から考えるアプローチ法)が小説を読むときにも有効だとその詳細を解説。
そうした小説を読む際の基本姿勢を説いた後、ポール・オースター著「幽霊たち」など古今東西の作品を取り上げ、小説をより深く味わうコツを伝授。これから小説を書きたいと思っている人にもおすすめのテキスト。
(PHP研究所 946円)