「月の立つ林で」青山美智子著
人間関係に疲れて長年勤めた総合病院を辞め、自宅にいた朔ケ崎怜花は、隣家の樋口さんから、旅行に行くので飼い猫のルナを預かってほしいと頼まれた。弟の佑樹に既に承諾を得ているという。ルナは人なつこい白猫で、子どもの頃飼っていたウサギを思い出させた。
新月の日、アマゾンミュージックのポッドキャスト番組「ツキない話」で、タケトリ・オキナという男性が「新月は新しい時間のスタート」だと話していた。宝石のブラックムーンストーンは新月の象徴だと知って、怜花は通販サイトで見つけた「朔」と名付けられたブラックムーンストーンの指輪を買おうと決めた。新しい仕事に就く自分のお守りになると。(「誰かの朔」)
タケトリ・オキナの話に癒やされて日々を生きる人びとを描く5編の物語。
(ポプラ社 1760円)