「こりずに わるい食べもの」千早茜著
著者は2月の末に京都から東京に引っ越した。
2カ月たったところで緊急事態宣言が発令され、ひきこもりに備えて買い出しに。スーパーで果物の山を見て、「果実食をやろう」とひらめく。好物の河内晩柑(ばんかん)、緑のブドウ、ミックスナッツなどを買い、皿に盛って黙々と食べる。お腹がたぷたぷになったので手を洗い、仕事を始める。物足りないのでまた食べる。激しい尿意を感じてトイレに。果実を食べ、手を洗い、トイレに行く、の繰り返し。
だが自粛期間中なのでトイレは行き放題。もう少し水気の少ない食べ物をとリンゴとバナナを追加したが、これって類人猿の餌では?(「先祖返り」)
「体にいいもの」の呪縛に果敢に挑戦するエッセー30編。 (集英社 1540円)