音楽と文学の融合 ヨルシカコラボで10、20代に海外文学ブーム
ロックバンド「ヨルシカ」と新潮文庫とのコラボによって、若者たちが海外文学を手に取っている。
ヨルシカは、「音楽と文学を融合」させ人気の、男女2人組のバンド。過去には、種田山頭火や正岡子規らの作品を歌詞に引用し、情緒的な歌詞が醸し出す世界観が支持されている。
4月には、文学作品をオマージュした25曲が収録されたアルバム「幻燈」をリリース。そのうち、モチーフのもとになったオスカー・ワイルド著「幸福な王子」やグリム兄弟著「ブレーメンの音楽師」などの6作品が、ヨルシカ限定カバー表紙として発売されているのだ。
特に、今回が40年ぶりの復刊となったアンドレ・ジッド著「地の糧」は、発売から1カ月で2万9000部を売り上げ、海外文学としては異例のスピードを記録。通常、海外文学の読者層は40~50代がメインだが、タイアップ6作品はどれも5割近くが10~20代の読者だという。
「地の糧」は、寺山修司の「書を捨てよ、町へ出よう」という言葉の原典と言われ、ヨルシカがオマージュした「チノカテ」の歌詞も、「この本を捨てよう、町へ出よう」と締めくくられる。現代風に言い換えれば、スマホを置いて外の世界に飛び出そう、となるだろうか。