「満映秘史」石井妙子、岸富美子著

公開日: 更新日:

 著者の岸氏は、かつて満州国に設立された国策映画会社・満州映画協会(満映)で働いていた映画編集者。特務工作に従事していた甘粕正彦が理事長を務め、スター・李香蘭が活躍した満映の実態や満州国崩壊後の軌跡はよく知られていなかった。本書は、ノンフィクション作家の石井氏が、岸氏が語る波乱に満ちた生涯とその満映の歴史をつづる聞き書き集。

 家計を助けるため、14歳で映画会社で働き始めた氏は、昭和14年、満州にわたり満映に入社。

 終戦後、旧満映は「東北電影」という中国人経営の映画会社に生まれ変わり、再雇用された日本人スタッフは、中国映画の草創期を支えたという。携わった映画や監督らとの思い出と共に、知られざる満映の歴史の空白を埋める貴重な史料。

(KADOKAWA 1320円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…