「疎外感の精神病理」和田秀樹著
「疎外感の精神病理」和田秀樹著
長年、精神科の臨床に携わる著者によると、問題を抱える人に共通するのが「疎外感」だという。彼らは、本音を聞いてもらったり、ありのままの自分を受け入れてもらったことがなく、本当の自分を知られたら嫌われるという恐怖があるそうだ。
一方、これまで疎外感など経験したことがない人でも、レイプ被害や震災など、それまで信じていた世界が崩壊すると、人間や自分の運命を信じられなくなり、一気に疎外感に陥ることがある。
また仲間外れをおそれ、本音を出せず、多数派に従ってしまう「疎外感恐怖」という病理もある。コロナ禍後も、皆がしている限りマスクを外せない心理もこれだ。
こうした日本人の疎外感と疎外感恐怖について解説し、その解決法を示す生き方指南書。
(集英社 1100円)