「戦国・江戸 ポンコツ列伝」吉川永青著
「戦国・江戸 ポンコツ列伝」吉川永青著
庄次郎は、一橋家の近習番頭取を務める土肥家の長男。父から勤勉と倹約に励むよう厳しく育てられてきた庄次郎は、27歳になった今も酒を飲んだことも女を抱いたこともない。
そんなある日、叔父の鉄次郎に諭され、1回限りと決めて吉原で登楼。以来、遊里通いがやめられず、ついには家の金を持ち出し、勘当されてしまう。
行き場を失った庄次郎は、幇間の清太に弟子入りし、荻江露八の名を与えられる。いざお座敷に出てみると、露八にとって幇間は天職に思えた。ようやく名が売れ始めたころ、父に呼び出された露八は、屋敷の庭に通され、切腹を命じられる。(「旗本たいこ」)
ほかにも、切腹から逃れたり、見えを張るためにウソをついたり、「ポンコツ」に生きたサムライたちを描く時代短編集。
(集英社 825円)