公開日: 更新日:

「生成AI 『ChatGPT』を支える技術はどのようにビジネスを変え、人間の創造性を揺るがすのか?」小林雅一著

 登場から、あっという間に身近になってきた生成AI。それって一体なに?

「生成AI 『ChatGPT』を支える技術はどのようにビジネスを変え、人間の創造性を揺るがすのか?」小林雅一著

 長い書名が本書の中身をほぼ言い尽くしている。生成AI本は多くがその紹介だけで終わっている観があるのだが、本書は社会とビジネスへの影響を具体的に語っているところが持ち味。

 たとえば真っ先に反応したのが学校。生徒たちの作文の宿題などはチャットGPTが難なくこなしてしまう。それどころか大学院の博士論文までそれらしいものを仕上げる能力があるため、大学教授たちは戦々恐々としている。生成AIに書かせた論文を果たして見破ることができるのかと大騒ぎなのだ。

 企業でもゴールドマン・サックスなどは従業員の利用を制限し、通信会社のベライゾンは仕事での利用を禁止。顧客情報の保護が理由だ。また韓国のサムスンも迷ったあげく対話型AIの社内利用を禁止。ここにデータを入力すると自社の情報がAI事業者のサーバーに保存されてしまうからだ。オープンAI社はチャットGPTを通じて入ったデータはソフトの改良用の機械学習には使わないと明言しているが、絶対安全と言い切れないのがネット時代だ。

 著者は海外で新聞社勤務の経験を持つ情報セキュリティーの専門家。新しい時代の到来をわかりやすく解説している。 (ダイヤモンド社 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末