「絶滅危惧個人商店」井上理津子著
「絶滅危惧個人商店」井上理津子著
歳月を重ね、住民に溶け込み、街になくてはならない存在になった個人商店を取材したリポート。
まずは日暮里駅から坂を上り、谷中銀座へと向かう途中にある佃煮の「中野屋」さんへ。前を通るたびに、使い込まれた「どうだ」と言わんばかりの外観にしびれていたのだ。客として商品を買い求めながら、話を聞くと、なんと関東大震災のあった大正12年創業、相手をしてくれた金子良子さんはその翌年に生まれたという(取材時95歳)。数日後に再び店を訪ね、良子さんから店の歴史と彼女自身の人生をじっくりと聞く。
ほかにも、客から献立を聞いて最適の肉を用意する鶴見の「かなざき精肉店」をはじめ、青果店や洋品店、靴店など、扱う商品を知り尽くした店主とその店19軒を紹介。
(筑摩書房 924円)