「旅のつばくろ」沢木耕太郎著
「旅のつばくろ」沢木耕太郎著
これまで世界中を旅してきた著者が、新たな視点で国内の旅をつづったエッセー集。
目的地を決めないで旅に出るのは、自分にとってのひとつの「夢の旅」だったが、ある日それに近いことが実現。その旅とは、小説を執筆中、登場人物の出身地をどこにしようかと、地図を眺めてふと目に留まった山形県の遊佐への旅だった。
その遊佐で温泉に開眼。それまで温泉に特に思い入れはなかったのだが、温泉に入るためだけに温泉地に行ってみようと、今度は箱根へと向かう。
ほかにも、車内で見知らぬ乗客からすすめられて行った軽井沢の紅葉の名所や、旅先でのちょっとしたぜいたくによってたどりついた花巻の宮沢賢治ゆかりの場所など。
読者を旅にいざなう41編を収録。
(新潮社 605円)