「特殊詐欺と連続強盗」久田将義著
「特殊詐欺と連続強盗」久田将義著
ウイルスのように犯罪も変異を重ねる。SNSで操られた若者たちによる連続強盗事件も特殊詐欺に代表される「匿名犯罪」から生まれた一つの変異体だった。
特殊詐欺にもヤミ金融というルーツがあり、ヤミ金融もまた1990年代に猛威を振るったシステム金融の変異体だという。
犯罪にそのような変異を促す大きな要因は、経済情勢と法規制だ。暴力団対策法でヤクザの行動の自由が縛られた結果、台頭したのが半グレであり、特殊詐欺などを働く「匿名・流動型犯罪グループ」だった。さらに、ITの進化が犯罪をかつてないほど複雑かつ厄介なものにしている。
1980年代のバブル景気とその崩壊、デフレ突入など経済情勢の変転によって金目当ての犯罪がどのように変異してきたのかをたどるリポート。
(文藝春秋 1045円)