(45)あの寮に小紫さんがいる
大川べりの老舗料亭、重三郎は二階の窓から身を乗り出している。その背におもんの毬が弾むような声。
「鰻の蒲焼がきました」
「………………」
だが重三郎は粋な造作の寮(別荘)から眼を外そうとしない。次郎兵衛は重三郎には眼もくれず、おもんにひとくさり。
「最…
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