(49)文を読む重三郎に緊張感が
線香たなびくお盆、お上臈が白の小袖に身を包む八朔、菊花の浮かぶ盃を呑み干す重陽の節句──。
蔦重にとって安永二年(一七七三)、二十三歳の秋は足早、たちまち八月、九月と暦が代わっていった。
「そろそろ見世に火鉢が出る玄猪、もう冬になる」
来春早々に開板の吉原…
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