(50)逢いとうござりんした
夜気に寒気が交じる。だが、吉原を行き来する遊客たちは上気している。
妓楼と妓楼の間の脇道、そこに吉原の若い本屋がサッと入っていくのを見咎める者はなかった。
「小紫さん……」
重三郎は呪文のようにつぶやく。かげろうからの文を手にしたのは昨夜。朝がくるのを待ち…
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