(51)六連星輝く空の下で姥桜が大喧嘩

公開日: 更新日:
切り絵・小宮山逢邦

 そろそろ四つ半(午後十一時)という頃、銀波楼の女将が裏茶屋の前へ駆けつけた。血相を変えた女将が「さざなみ」と染め抜いた暖簾を払う。

 と、横合いから大年増のドスのきいた声。

「ここには入れないよ」

「大文字屋のかげろうじゃないか」

 お退き、邪魔をするん…

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