(56)あちしの艶姿、とくとご覧なんし
重三郎は兄の怒声を浴び駆け出した。
吉原大門を出た五十間道には、茶屋や商家が立ち並ぶ。店々の子どもたちが、「蔦屋」の前で凧遊びや突く羽根に興じているのを押しのけた。
「兄さん、どうしたの?」
「こ、小紫が大変だ!」
おもんが重三郎の手を取り、店の中へ…
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