(57)死に顔は冴え冴えと美しい
吉原の目抜きの仲の町通り、お上臈がそろりそろりと外八文字に三本歯の駒下駄を進める。道の左右を埋めた人々がどよめく。
重三郎は駿河屋の二階から花魁道中を眺めている。隣に立った叔父が問わず語りの態になった。
「齢をとると、月日の経つのが早くてならないよ」
花見…
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