「在野と独学の近代」志村真幸著

公開日: 更新日:

「在野と独学の近代」志村真幸著

 現代では、科学や学問は大学や研究機関に所属する研究者が担うものと思われている。給料をもらって研究する「プロ」とは一線を画し、独学の「アマチュア」研究者こそが学問の中心だった時代がかつてあったという。

 そんなアマチュア研究者の代表が明治から昭和初期にかけて活躍した生物学者・民俗学者の南方熊楠だ。独学で学んだ彼は、大学で教えたことも、博物館や研究所で働いた経験も皆無。19世紀末に英国に8年間留学するが、当地でも大学に在籍する代わりに、アマチュアの学問世界に入り込み、図書館や博物館、植物園、学術雑誌上での交流が勉強法だった。

 本書は、南方をはじめ、ダーウィンやマルクス、牧野富太郎ら独学研究者たちの人生を追い、学問の意味や豊かさ、その可能性を示す。

(中央公論新社 1056円)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  2. 2

    大山悠輔逃し赤っ恥の巨人にOB評論家《良かった》 FA争奪戦まず1敗も…フラれたからこその大幸運

  3. 3

    パワハラ騒動で楽天退団 安楽智大の去就どうなる? 兄貴分・田中将大の自由契約で話題沸騰中

  4. 4

    過去最低視聴率は免れそうだが…NHK大河「光る君へ」はどこが失敗だったのか?

  5. 5

    田中将大獲得に及び腰なのは《復活うんぬん以前の問題》…“外野”がフォローするほど現場との温度差浮き彫り

  1. 6

    大逆風の田中将大まさかの〝浪人〟危機…ヤクルト興味も素行に関する風評が足かせに

  2. 7

    巨人が“大山資金”で怒濤の上積み…FA石川柊太争奪戦で5球団「3年6億円」横一線の均衡破る

  3. 8

    《次の朝ドラの方が楽しみ》朝ドラ「あんぱん」の豪華キャストで「おむすび」ますます苦境に…

  4. 9

    フジテレビ『ザ・ノンフィクション』で注目された50代男性の裏話と結婚できる中高年の境界線 

  5. 10

    石破政権を直撃!岩屋毅外相につきまとう「100万円」疑惑…米国発カジノ汚職で再燃