丸茂ジュン「ハイエナが牙をむくとき」(1985年・東都書房発行から)
【あらすじ】平凡なセールスマン篠崎は、ある日、訪問先の会社で、かつてホテトルで篠崎の相手をしたことのあるOL・多恵子を見つけた。過去を暴露されることを恐れた多恵子は、自らの肉体を提供し、篠崎に次々と獲物を紹介していく――。女子大生、清純派の混血女優、夫の浮気に嫉妬の炎を燃やす人妻、テレビ局の女流プロデューサー……。腐肉に群がるハイエナのように、弱みのある女たちの甘い肉に食らいつく男と、その毒牙に蹂躙され翻弄される女たちを生々しく描いた表題作。他に、「夜の寄生虫」「蜜に溺れた女たち」を収録。
篠崎は多恵子の白い太腿をグイッと力まかせに開かせた。
「さんざん荒稼ぎしたわりには、綺麗なオ××コしてるじゃないか。マメが大きいのは、オナり過ぎか、それとも……」
「やめて……いやらしいこと言わないで」
両手で顔を覆って叫んだ次の瞬間、彼女はうっと息を詰めてのけぞった。篠崎の股間のものが、一気に彼女のそこを貫いたのだ。
指で触れた時は、多恵子の花唇はかなり濡れている感じだった。だが、実際にペニスを突き立ててみると、篠崎が想像していたよりずっと抵抗が強い。きつかった。
やはり、こんな強姦まがいのやり方では、女はすぐに感じてはこないのかもしれない。
それでも、篠崎は強引に彼女の奥を突き立てることをやめなかった。
憎しみ、というほどの思いはない。ただ、面白半分に売女を演じていた女が、口を拭って真面目風のOLをやっていたというのが、ひどく篠崎の気に触ったのは事実だ。
だからここへ呼び出した。弱みに付け込んだような格好になったが、篠崎自身は、そこまで自分の行動を明白に分析してはいない。
「もっと腰を使えよ、ほら、ほら……」
「うううっ……」
ペニスを根本まで埋めて、グリグリ子宮をえぐるように動かすと、多恵子の口から嗚咽が漏れた。目からは大粒の涙が迸るように溢れ出ている。
以前、ホテトル嬢として篠崎の前に現れた彼女とは、まるで別人のようだ。
(略)
「二万円、先払いよ。それから、あたし、しつこいのは嫌いだからね。濡れはいい方だから、前戯なんていいから、早いとこ済ませちゃってよ。どうせ溜まってるんでしょ?」
などと早口でまくしたてて、篠崎の目の前でさっさと裸になったのだった。
忘れもしない三年前のことだ。
(構成・小石川ワタル)
▽まるも・じゅん 1953年、静岡県生まれ。玉川大学英文科卒。建設会社勤務ののち編集者となり、その後、小説を書き始める。83年、「愛という名の媚薬」(双葉社)でデビュー。美人官能小説家として注目され人気を博す。86年、未婚のまま男子を出産しシングルマザーになる。