ひたすら原発礼賛…米映画「パンドラの約束」の危険な中身
「フランスの電力の80%を担う50基の原発が生み出す廃棄物は部屋1室分にも満たない」
■試写会には東電関係者が多数
5人が入れ代わり立ち代わりで、原発の安全性を説き続けるのだ。関係者によると、最近開かれた試写会には多くの東電関係者が集まったという。映画は米国発だが、日本の原発推進勢力が巻き返しを始めたともいえるだろう。
映画作家の森達也氏は「原発推進派の論理が浅いことに愕然(がくぜん)としました」とこう言う。
「この映画の論調は『COの問題は深刻だ。大気汚染を我慢するか、それともクリーンな原発を選ぶか』という二者択一に支配されています。ドキュメンタリーだから仕方ありませんが、自分たちに都合のいい数字や現象だけを羅列。フランスの廃棄物は1室分未満というが、どれくらいの大きさの部屋なのかも分かりません。原発推進派が苦し紛れに作った映画という印象を受けます」
ロシアの核弾頭を米国が輸入して発電に利用しているという話も出てくる。これまで解体した核弾頭は1600発に達するという。ビル・ゲイツも投資している未来型の原発「進行波炉」は一度起動すると60年以上動き続ける画期的な原発として紹介されている。