岡崎友紀さんがまざまざ見せられた故森繁久弥氏の“プロ魂”
岡崎友紀さん(61)にとって斯界の大御所は「芸能界の大先輩」というより、「親戚のおじさん」みたいな存在だった。それもそのはず。森繁御大は、岡崎がまだ芸能界に入る前から、岡崎の母親の知人だったという。
森繁がまだ本格的に俳優活動を始める前、NHKのアナウンサーとして満州放送局に勤務していたのは有名な話だが、岡崎の母も当時、同局に勤務していた同僚だった。
「私が小さい頃には、母に連れられて千歳船橋の豪邸にお邪魔したこともあったし、森繁さんが森繁劇団を旗揚げされた時には、同じく母に連れられて明治座の楽屋をお訪ねしたのを覚えています」
とはいえ、岡崎の母は「我が子の将来のためにコネクションをつくっておこう」と考えていたわけではない。ただの同窓会感覚。むしろ、森繁に相談もなく、娘(岡崎)に芸能活動をさせたことで、激怒されたこともあったという。
「あれは、私が子役として東京宝塚劇場で『王様と私』に出ていたときのことです。ある大手新聞が劇評で『子役の岡崎友紀がいい』って褒めてくださった。それをたまたま森繁さんがご覧になったらしく、劇場の事務所まで訪ねてくださり、私の顔を見るなり、『あ、やっぱり経子ちゃん(岡崎の母)の子だ。この仕事をしてるってどうして知らせなかったんだ』ってひどく怒られちゃった。もっとも『名もなき子役が新聞の劇評に取り上げられるなんて、大変なことなんだぞ』と褒めてもいただきましたけど……」