岡崎友紀さんがまざまざ見せられた故森繁久弥氏の“プロ魂”
さて、ここからが大御所の実力発揮。ちょうどその翌年(66年)、森繁はNHKで1年間の連続ドラマをやることが決まっていた。「それに出ないか」と誘ってくれたのだ。
「ただ、“知り合いだから出す”というわけにもいかないので、『一応、オーディションを受けなさい』ということになり、本当は3歳足りなかったんだけど、受けさせてもらって何とか合格。それが私の初のテレビレギュラー『太陽の丘』だったんです」
森繁とはその後も、たくさんの舞台・ドラマで共演している。もちろん「屋根の上のヴァイオリン弾き」も。演技について、いちいち指導されることはなかったが、ある日の「屋根の上――」で森繁のプロ根性をまざまざと見せつけられたという。
「帝劇で上演中、いきなり震度4の地震に見舞われたことがあるんです。天井の照明はガンガン、お客さまもザワザワで、公演を中止してもいいような状況だったのですが、森繁さんは一切動じることなく、主役のテヴィエを演じ切ったのです。“プロとして魂を込める”ってこういうことなんだなぁと実感した瞬間でした」