「ラスボス」でファン拡大 小林幸子が傾けた思い出のコップ酒
生活が一変したのが79年。1月に28枚目のシングル「六時、七時、八時あなたは…」を発売しました。そのB面が「おもいで酒」だったんです。
■3畳の衣裳部屋
ところが、「おもいで酒」の感触がよく、梅便りのころから地方の有線放送で火がつき、桜が咲くころには全国で大反響。それでA面とB面を入れ替えて再発売したのが正解でした。発売から4カ月後にオリコンランキングのベスト10入り。誰も予想しなかったヒットになりました。
ようやく、長い長い冬を乗り越えて春が来たんです。
その後、発売17週目にオリコンで1位、トータルで200万枚を超すダブルミリオンセラーを記録。その年の第21回日本レコード大賞・最優秀歌唱賞と金賞、第10回日本歌謡大賞・放送音楽賞を受賞することができました。私にとっては本当に夢のような一年。毎日、仕事に追われ、お酒がおいしくなったのはいうまでもありません。
そんな中で一人酒をする時がありました。当時借りていたアパートの3畳間の衣装部屋です。そこにはお金がない時、傷んだら、補修を繰り返して着ていたステージ衣装が6、7着吊るしてありました。