オナラ音は本物 お笑い一徹の志村けんは細部にもこだわり
荒井注の脱退をきっかけに、志村はドリフの一員に。最初の一年は気合が空回りして全くウケなかった。見ている人を笑わせるには、楽しく遊んでいるように見せなくてはいけない。そのことに気付いてからようやく笑いが取れるようになり、「東村山音頭」「ヒゲダンス」「カラスの唄」などの代表的なネタが生まれた。
細部も徹底的にこだわる。コントで使うオナラの音は本物の音を使っていた。偽の効果音ではどうしても感じが出ないからだ。壊れる机や椅子にはバルサという素材を用いる。壁にぶつかる音を強調するにはトタン板を使う。こうした工夫の一つ一つがドリフの番組で発明されたものだ。
一心不乱にコントだけをやり続けてきた“変なおじさん”の積み上げた歴史の重みが感じられる一冊だ。