一本筋が通ったMCが魅力 加藤浩次を支える「4つの要素」
声の印象とは裏腹に、ナイーブな一面もあり、新聞各紙をものすごく読み込む勉強熱心なところもありました。そうした人間としての「振れ幅」がギャップ力です。「ギャップ」が大きいほど、お茶の間に受け入れられる魅力になると、僕たちは確信していました。
また、“巻き込む力”もあります。当時はコメンテーターにテリー伊藤さんと勝谷誠彦さん(共にすでに卒業)がいて、2人の意見が対立することもありました。ここで対立を嫌がって、中途半端にまとめてしまうと歯切れの悪い印象が残りかねません。加藤さんは2人の異なる意見を再確認し、火中の栗をあえて拾って対立を煽りながら、意見を集約できる人でした。ネット社会で何でも簡単に炎上してしまう現代にテリーさん、勝谷さんのように自身の意見をハッキリ表明できる人は稀有な存在です。それを時間の限られた生番組で料理していたのがMCの加藤さんなのです。
さらに行司役で裁くのではなく、「自分も土俵に上がる勇気」を加藤さんは持っています。自分はどちらの意見に賛成なのか、3児の父として新たな意見を加えるなど、自分の立場を鮮明にします。もしも、自分が間違ってしまったとわかったら、翌日には「昨日はAと言いましたが、Bが正しいと思います」と軌道修正をする潔さもある。
MCとして一本筋が通っているからこそ、視聴者にこの人は信頼できる人だという印象が伝わり、見ごたえのある情報番組になっていったのです。