黒柳徹子氏語る ミャンマーの子供が話した「平和」の重み

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子供の口から初めて聞いた「平和」への思い

  ――元子ども兵士にもお会いになった。

 15歳だったかしら。近所のおじさんに誘われたんですって。あの辺りはヒスイがすごく取れる。兵士になればヒスイで稼げる、とか言われてね。だけど、当然いいことはないし、人を銃で撃てって言われる。逃げ出したくても見張りが厳しいし、虎に食べられるとか、恐ろしいことを吹き込まれる。9歳、10歳で連れて行かれるから物事がよく分からないのよ。何とか脱走して家族のいる村に戻っても武装勢力がいて、そこからも逃げたらどこにいるのか分からなくなったんですって。キャンプにいる子どもたちはあどけない顔はしてないですよね。キリッとしているというか、目端が利くというか。物音がするとビッと視線を動かすような鋭さを感じました。

  ――教育が心の傷も癒やしてくれるといいですね。

 仏教、ヒンズー教、イスラム教、キリスト教の人たちが集まるセミナーがあったんです。子どもたちが「僕たちがケンカをしなければ絶対に戦争にはならないと思います」って言っていたの。「宗教が違っても仲良くしていきます」って。ビックリしました。いろんな国を回りましたけど、子どもが平和について話すなんて聞いたことがなかったから。いろんな意味で想像していたのとは全然違うミャンマーでしたね。

■やらされちゃダメ、好きだからやる気持ちが大事

  ――それにしてもお元気です。今日は「徹子の部屋」の収録を3本済まされたとか。

 きのうのテレビでクルミが脳にいいって言ってたので、今日からクルミを食べ始めようかなと。毎日5粒くらい食べると、認知症を防げるんですって。私、お酒を飲まないのね。それでずいぶん違うと思いますよ。朝まで大騒ぎすることはないし。豆腐とか、体にいいとされるものをバランスよく食べる。焼き肉とか、お肉はすごく食べますよ。母が作らなかったせいか、揚げ物を食べる習慣はないの。ただ、お菓子が好きなんでね、それが問題。ケーキとかね、おいしいものがあるでしょう。ケーキを食べたことがない子どもが世界にたくさんいると考えると、申し訳ないように思いますけど。

  ――豊富な読書量も知られていますが、ペースはどれくらいですか?

(レギュラー出演している)「世界ふしぎ発見!」(TBS系)の収録前は出題テーマの関連本を10冊、20冊借りてもらって、パッパッパッと斜めにですけど、毎回読みます。でもね、最近はザックリとしかテーマを教えてくれないの。例えばマヤ文明がテーマだったら、メキシコって言う。人物がテーマの時なんかは全く教えてくれないの。

  ――全問正解阻止ですね。

 そうなの、パーフェクトをさせたくないのよ。私ね、3択がダメなんです。1つは事実だけど、あとの2つはウソじゃない? すごく正直者だから、ウソの答えにすぐ乗って、たいがい間違えて。3択が出来てから私のパーフェクトはすごく減りましたよ。クイズと関係がなくても、面白そうな本に出合ったら、朝まで読むこともあります。新聞はいずれにしても読みますよ。私は朝日新聞と東京新聞。

  ――最近のご関心は?

 そうねえ、嫌なことばっかりねえ。(北朝鮮から)ミサイルが飛んで来たりしてるじゃない? そういうの、もうやめてもらいたい。せっかく70年も平和が守られてきたのに。政治はやっぱり関心持って見てますよね、当たり前ですけど。大変ですもの、関係があることがいっぱいあるから。

  ――記憶力も衰え知らずですね。

 人間だから限度がありますけど、「徹子の部屋」に1万人が出演されて、たいていのお話を覚えていることに気付いたんです。それが映像なの。誰々さんのお父さんが出征する時に妹さんが後を追いかけたって話を聞くと、頭の中にシーンが浮かぶ。再出演された時に、「妹さんが追いかけたんですよね」って切り出すと驚かれるけど、興味がなければ覚えていないでしょう。元気に長生きしたかったら、いろんなことに興味を持つ。やらされちゃダメ。「徹子の部屋」もできることなら50年目まではやりたい。自分で選んで自分で決めて、好きだからやっているんだっていう気持ちが大事だと思いますよ。

(聞き手=本紙・坂本千晶)

■ミャンマー国内事情 民主化要求デモで1988年に26年間続いた社会主義政権が崩壊したが、軍政が誕生。2度の総選挙や国民投票による新憲法採択を経て、2011年に民政移管。同年、北部のカチン州で政府軍と少数民族の武装組織が衝突。現在も紛争が続く。地雷被害が世界で最も多い国のひとつ。

▽くろやなぎ・てつこ 1933年8月、東京生まれ。83歳。東洋音楽学校(現東京音大)の声楽科を卒業後、NHK放送劇団入り。NHK専属のテレビ女優第1号として活躍。世界35カ国で翻訳される著書「窓ぎわのトットちゃん」の印税で社会福祉法人「トット基金」を設立して、プロのろう者劇団を支援。「ちひろ美術館」(東京・練馬、長野・安曇野)の館長。

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