連日のワイドショーにウンザリしながら思い出した81年残暑
ここしばらく、既存のワイドショーから離れて、本来の極道(修業中の極めごと)である映画という奈落の生業に専念してると、こっちも自分の暮らし方、生き方をもう一度(今まで何度思ってきたことか)見つめ直そうかという気になってくる。振り返れば、オレの映画現場なんて、役者を追い込み、嫌がらせ、悩ませ、落胆させ、真っ白にする、そんなパワハラも普通にやってきた。
なんて人間はみみっちいことに捉われてばかりで頭が悪いんだろ。そんな日常から脱しようと、映画にのめり込んだ1981年の残暑を思い出す。初の一般映画「ガキ帝国」でちょっと名が売れていい気になってたら、義理欠く恥欠く人情欠くの三角マークの東映から「今度は在日のヤツは出てこない、ケンカ三昧の不良どもの続編を撮ってみろ。題名だけ同じなら中身は何でもいいから」といい加減なことを、東大出の営業本部長に言われたので、仰せの通り、よっし、それなら時代遅れの暴走族も出してやってやれと決めて、相棒に2週間で脚本を書かせ、ひと夏で撮り上げたのが「ガキ帝国・悪たれ戦争」だった。今年の灼熱と比べようはないが、炎天下で雄たけびを上げて撮り、仕上げ時に絵をカットしろしないで東映とモメて、打ち上げでヤケ飲みして、気がついたら夜明けの四谷署のブタ箱にいた。悪名無頼監督の事件は全国ニュースで流れたらしいが、作品は9月に封切られたし、今よりいい時代だった。
その後、事情があって再上映もビデオ化もならずで37年経ったが、この年末、ひょっとしたら上映されるかも知れないと聞いた。わが恥の上塗りながら、なんかワクワクしている。