上川隆也「遺留捜査」はテレ朝ドラマの“大関クラス”に成長
13日、「遺留捜査」(テレビ朝日系)が終了した。主人公の糸村(上川隆也)が、東京から京都府警特別捜査対策室へと異動したのは昨年の第4シリーズでのことだ。
今期、佐倉(戸田恵子)は室長代理に出世していたが、同僚の神崎(栗山千明)との珍コンビや、科学捜査係官・村木(甲本雅裕)との笑えるやりとりは変わらない。
この「変わらない」ことがシリーズものでは大切で、その最たるものが糸村の観察眼と遺留品に対する並外れたこだわりだ。
たとえば第8話では、古びた空き缶1個が突破口になった。30年前の事件に関係した男の死体発見現場にあったものだ。糸村は、男が病気の息子のために、空き缶にアルミホイルを巻いてロウ管式録音機を作っていたことをつきとめる。
また最終回では、ガス管に使われる黄色い円筒だった。殺人を犯した姉(観月ありさ)の罪をかぶった弟(三浦涼介)が、姪(山口まゆ)の誕生日に手作りの万華鏡を贈ろうとしていたのだ。簡易録音機にも万華鏡にも作った人が抱える事情や込められた思いがあり、糸村がそれをすくい上げていく。このドラマが支持されるのは、遺留品を通じて人間の情や絆を丁寧に描いているからだ。
同じく定番の「相棒」や「ドクターX」などがテレ朝ドラマシリーズの横綱なら、「遺留捜査」も堂々の大関クラスに成長したと言っていい。