「蜜柑とユウウツ~茨木のり子異聞~」 詩人の魂を昇華
単なる評伝劇ではなく、作品と彼女を取り巻くさまざまな人々の視点から、時代に斬り結んだのり子の生涯を重層的に描く。
演出のマキノノゾミは表面的な笑いを排し、ノリコの心の深層を丁寧に描くことで、人間の悲しみと滑稽さ、そして優しさを浮かび上がらせた。
繊細なノリコを松金がチャーミングに演じ、はすに構えながらもノリコを愛おしむ分身を田岡、岡本がしなやかに演じた。
一人の詩人の魂の再生の物語であると同時に、32年間苦楽を共にした3人の新たな再生への好舞台となった。
12月14日まで全国巡演。 ★★★★