大島渚編<後編>「映画とは犯罪」を体現した純粋さと挑戦力
大島渚監督には笑える話がまだまだあるとビートたけしは語る。
「坂本龍一(ヨノイ大尉)を下から拝み上げるように撮るシーンがあってさ。当然、カメラは下から坂本を狙わなきゃダメなんだけど、できるだけ低い位置から撮るために、大島さんは『穴を掘れ!』って指示したんだよ。で、穴を掘ってカメラを埋めたんだけど、穴が小さすぎてカメラマンが入れねェの。
『カメラだけ埋めてどうするんだ、おまえらはホントにバカだ』ってまた大島さんが怒ってさ。で、そばで見ていたオイラがひと言、『坂本を台の上に立たせたほうが早いんじゃないか』って言ったんだよ。そしたら、大島さん、
『ハッ! タケちゃん、君は天才だ!』
だって(笑い)。
まだあるぜ。音声さんが『撮影中に雑音が入るんです』って訴えてさ。大島さんが『何~、貴様ら、オレの映画を台無しにする気か! 絶対黙ってろよ!』っていうわけ。で、いざ撮影が始まると、やっぱり『ウ~、グ~、ウ~』って音がするわけだよ。ところが、それって大島さんのうなり声なんだよな。うるせェのは当の監督じゃないかよってね」