著者のコラム一覧
吉川圭三映像プロデューサー

1957年、東京都生まれ。82年日本テレビ入局。「世界まる見え!テレビ特捜部」「恋のから騒ぎ」「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」などを手掛ける。現在、ドワンゴのエグゼクティブプロデューサー、早稲田大学表現工学科講師を務める。著書に「たけし、さんま、所の『すごい』仕事現場」(小学館)、「全力でアナウンサーしています。」(文藝春秋)がある。

大島渚編<後編>「映画とは犯罪」を体現した純粋さと挑戦力

公開日: 更新日:

 大島渚監督には笑える話がまだまだあるとビートたけしは語る。

坂本龍一(ヨノイ大尉)を下から拝み上げるように撮るシーンがあってさ。当然、カメラは下から坂本を狙わなきゃダメなんだけど、できるだけ低い位置から撮るために、大島さんは『穴を掘れ!』って指示したんだよ。で、穴を掘ってカメラを埋めたんだけど、穴が小さすぎてカメラマンが入れねェの。
『カメラだけ埋めてどうするんだ、おまえらはホントにバカだ』ってまた大島さんが怒ってさ。で、そばで見ていたオイラがひと言、『坂本を台の上に立たせたほうが早いんじゃないか』って言ったんだよ。そしたら、大島さん、
『ハッ! タケちゃん、君は天才だ!』

 だって(笑い)。

 まだあるぜ。音声さんが『撮影中に雑音が入るんです』って訴えてさ。大島さんが『何~、貴様ら、オレの映画を台無しにする気か! 絶対黙ってろよ!』っていうわけ。で、いざ撮影が始まると、やっぱり『ウ~、グ~、ウ~』って音がするわけだよ。ところが、それって大島さんのうなり声なんだよな。うるせェのは当の監督じゃないかよってね」

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