著者のコラム一覧
ラリー遠田お笑い評論家

1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在は、お笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。近著に「お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで」(光文社新書)などがある。

「トム・ブラウン」お笑い界屈指の“ツッコミ不在”の漫才

公開日: 更新日:

 2人は東京に出て活動していたが、鳴かず飛ばずの時代が長く続いていた。

 そんな中で、有名人やアニメのキャラを合体させるというナンセンスな設定の「合体漫才」を作ったところ、これが大ウケ。ライブシーンで爆笑をさらい、ついに「M―1」の決勝の舞台に立つことになった。

 漫才の冒頭でみちおが「サザエさん」に出てくる中島くんを5人合体させて「ナカジマックス」を作りたい、と言い出す。ところが、中島くんの中に1人だけ中島みゆきが交ざっていたせいで、合体は失敗に終わってしまう。

 布川も最初は戸惑っていたものの、徐々にみちおに乗せられて、ナカジマックスが出てくるのを待ちわびるようになる。ツッコミがツッコミの役割を果たさず、ボケと一緒にその気になってしまう。驚くべき「ツッコミ不在」の漫才なのだ。

 決勝では惜しくも敗れて10組中6位に終わったものの、松本人志をはじめとする審査員からは絶賛された。

 柔道部出身ということもあり、彼らの笑いはどちらかというと体育会系である。まるでギャグ漫画のようなバカバカしさに満ちていて、力技で強引に笑いをもぎ取っていく。

 ちなみに、みちおは実際の腕っぷしにも自信があり、パイナップルを素手で砕いてジュースにするという特技がある。

「M―1」で強烈な印象を残したお笑い界屈指のパワーファイターは、タカアンドトシに続く北海道出身のスターになれるのだろうか。

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