<9>麻雀は打ち手によって格調が生まれる
配牌を見て、「三萬」自摸の後、第1打牌に何を選ぶか考えてほしい。
第1自摸「三萬」の後、打牌に中ぶくれの「三筒」を選ぶ人もいるだろう。そうすると、2巡目の「六索」引きで、聴牌になる。「發」が雀頭の愚形だが、「エイッ」と「五索」切りでリーチをかける打ち手もいるだろう。名人戦に裏ドラはないから、これだと栄和で1300点だ。
阿佐田さんの第1打牌は「發」の対子落としだった。
手なりの進行を拒み、この配牌の価値を最大限に引き出す狙い。2巡目、阿佐田さんは「六筒」を引き、「三筒」を捨てている。
雀聖の目標は、三色同順の一点になった。必要な牌は「二索」と「四萬」。この牌譜が紙面を飾ることを考え、手牌の可能性を最大限に引き出そうとしている。牌譜の貴賤は、打ち手の想像力によって決まると思える。
断っておくが、「發」雀頭のリーチが、いつもいけないわけではない。トップで逃げ切りを図る時、ツキ親を蹴りにいく時など作戦的に許される場合もある。