<6>ハンカチを縦から横に持ち替えるネタに黒柳徹子は感心
1980年、マギー司郎に転機が訪れる。
若手芸人の登竜門と言われた演芸オーディション番組、「お笑いスター誕生!!」(日本テレビ系)に出場する。当時、駆け出しの演芸評論家だった私は、収録会場の代々木・山野ホールへ毎回出かけた。初めてマギーを見たのも、そこでだ。
「何の計算もなく出たんです。勝ち抜き戦でしたが、ストリップ劇場じゃ受けないネタでも、お客が笑うんで、戸惑いました。1週目を勝ち抜いたのに、2本録りなのを知らなくて、あわてて休憩時間にネタを練ったのを覚えてます。同じ衣装で出るしかなかったけど、2週目もよく受けて、勝ち抜いたんだから、わかんないもんですよね」
他の出場者が熱演する中で、ひとり飄々と演じていたマギーは異色だった。
「マジックよりおしゃべりが主でした。例えば白いハンカチを赤に変えるだけじゃすぐ終わっちゃうでしょ。それでお客さんに『何色に変えましょうか』と聞くの。『青』って言ったら、『青は今日休みなんだよね』と答えると受けるわけ。次のお客さんに聞いて『緑』って言ったら、『緑は先週で終わっちゃったの』と言うと、もっと受ける。結局、最後は赤に変えるんだけど」